人は忘れるのがフツウです。
何かを覚えるためには
途方もない繰り返しの練習が
どうしても必要なんです。
これは誰もが通る道。
あなたが記憶や言語の
天才でないのなら、
避けては通れません。
効率よく記憶するために
私たちの体や脳のメカニズムを
把握しておくのも方法です。
〇あなたの海馬に語りかけるのです
私たちの脳には海馬という
情報を仕分けし、
記憶する部位があります。
この情報は要る?
要らない?
海馬が要らないと判断すれば
その情報は脳みそから消え、
無かったことになります。
海馬はあなたの本音に忠実です。
大好きな話ならすぐさま
要る情報へ。
「なるほど、メダパニーマにはプラチナトレイと天空の盾持たせて『まもりのたて』やればいいのね。。」
ドラクエウォークの話です。
問答無用で要る情報です。
しかし興味の無い話なら
脇目も振らず要らない方へ。
「この単語なんだっけ、昨日調べたのに!!」
せっせと調べて、それでも
要らない方へ一直線です。
ちょっと待ったーーー!
興味ないけれど
覚えなければいけないものほど
海馬に教えてあげなくてはいけません。
「聞こえますか。。
3秒前の私です。。
あなたの心に直接呼びかけています。。
これは、要る方です。。。」
〇繰り返し語り掛けるのです
何度も何度も、
あなたの海馬に教えてあげてください。
何度も同じ情報がやって来ると
さすがに海馬も気づきます。
海馬:「あれっ?
これさっき見たなー。
ひょっとして要る情報?」
要る情報だヨ!
と、教えてあげてください。
〇そして長期記憶へ
記憶には長期記憶と短期記憶があります。
一旦海馬が最重要ではないけど
要るかなーと判断したものは、
短期記憶と呼ばれ
一時お預かりとなります。
一時的に海馬がお預かり
出来るのはおよそ30日。
その間に海馬が
「やっぱりこれは重要だ!」
と判断すれば、
長期記憶へ移行となります。
そうなればしめたもの。
滅多なことでは忘れません。
私たちが目指すのはこれです。
ですが特に必要なさそうなら
全て廃棄という、
容赦ない独自ルールが
海馬には存在します。
テスト前に猛勉強して覚え、
テスト後にきれいさっぱり忘れる現象が
これに当たります。
何とか長期記憶へ情報を移してもらうため、
私たちは繰り返し
海馬に語り掛けるしかないのです。
〇あなたの海馬はあなた次第
海馬は鍛えられることが分かっています。
通常私たちの海馬は1年に約1%
縮んでいるんだそうです。
ですが運動と記憶の訓練で
肥大化するということも
分かっています。
筋肉と一緒です。
訓練すれば強く、
何もしなければひ弱になります。
カーナビもスマホも無い時代の人々の方が、
ひょっとしたら私たちよりも
海馬は発達していたのかもしれませんね。
繰り返しますが、
私たちは忘れる生き物です。
覚えようとすることが
大事なんです。
そして覚えるためには、
書いて、
読んで、
聞いて、
凝視して、
その繰り返しです。
いつかあなたの海馬が
その情報を長期記憶に
移してくれるまで。
〇記憶するにはタイミングも大事
ずっと椅子に座っているよりも
適度な運動の後の方が
覚えやすいんだそうです。
ウォーキングや
軽いランニングといった
有酸素運動で
海馬が肥大化したという
実験結果もあります。
ストレッチだけでは
効果が無かったようです。
適度に運動し、
血の巡りが良くなったところで勉強。
そしてたっぷりの睡眠も
忘れてはいけません。
寝ている間に私たちの脳は
フル稼働して情報整理を行っています。
寝る前にするのは
マンガやゲームでなく、
覚えたい内容の確認です。
寝る直前に今日勉強した内容を
ざっと見返しましょう。
〇早めに、何度も復習することが大事
ドイツの心理学者
ヘルマン・エビングハウス (Hermann Ebbinghaus)の
忘却曲線 (Forgetting curve)
というものがあります。
忘却曲線(The Forgetting Curve)
Wikipediaより
よく誤解されますが、
これは1日後に約7割を忘れる
という忘れやすさを表した
ものではありません。
忘却曲線は、いつ復習したら
どれだけ再学習の時間を
短縮できるかということを
表しています。
記憶が完全に脳から消える前に
早い段階で復習すると
思い出すのも早いということが言えます。
そしてそれを短い期間で何度も
繰り返し復習することで、
記憶を思い出す時間も短いまま
キープすることができ、
やがて長期記憶となります。
ただし注意点として、
実験では意味のない文字の
羅列の記憶を行っていたので、
意味のある単語や漢字を
覚える作業とは
少し異なることは理解しておくべきです。
「木がたくさんあって森」
というように、
意味があるものを覚える方が
無意味な文字列を覚えるより遥かに楽なので。
〇予習はしない
予習はあまりオススメしていません。
間違いを覚えるのは
時間と労力の無駄です。
例えとしては英語の発音が
分かりやすいと思います。
子供たちを見ていても、
Redのカタカナ英語を知る前に
正しい発音を聞いたほうが、
キレイなRの発音になります。
ですが一旦カタカナ英語の
レッドと覚えてしまうと、
これを直すのが一苦労です。
現在の低学年の子たちは
英語の発音がとてもきれいな子が多いです。
ですが高学年になって初めて
英語に触れた子たちは、
一様にカタカナ英語で発音します。
この発音の壁は
多くの日本人の大人が経験し
分かるはずです。
予習に時間を割くよりも、
復習と想像力を鍛える分野に
力を入れることをオススメします。
難しいパズルを解く、
計算の解き方を自分で考える、
読書をするといったことは、
自分の発想を鍛える訓練になるのでどんどんすべきです。
忘れるのはみんな一緒です。
まずはそれを知り、
諦めずに効率的に学んでいきましょう。